障害者手帳はどんなもの?
障害を持った人が生活しやすくするために受け取ることができる手帳だよ。
今回は「精神障害者福祉保健手帳」について解説していくよ。
はじめに
障害を持っている人は、その状態によって「障害者手帳」を発行してもらうことが可能です。
障害者手帳も持つことで多くのメリットもあるので、まだ持っていない人はぜひ検討してみてください。
障害者手帳とは
種類
障害者手帳には以下の2種類があります。
・身体障害者手帳
・精神障害者福祉保健手帳
今回は精神疾患を持った人が発行可能な「精神障害者福祉保健手帳」について詳しく見ていきます。
精神障害者福祉保健手帳とは
精神障害者福祉保健手帳は精神保健福祉法に定められた、精神疾患を持つ人に発行される手帳です。
精神保健福祉法は「精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律(厚生労働省HPより)」です。
つまり、障害を抱える人を保護し、社会復帰の手助けをする法律です。
手帳の発行を受けられる人はぜひ活用しましょう。
対象
精神障害者福祉保健手帳の発行を受けられる障害は
・うつ病
・躁うつ病(双極性障害)
・統合失調症
・発達障害などの精神疾患
など
など複数あります。
いずれも医師の診断が必要になるので、症状が出ている場合は早めに医師に相談することをお勧めします。
手帳を持つメリット
さきほどお話しした、精神保健福祉法にもあった通り、手帳は社会生活を営む上で障害者に不利にならぬよう、また社会復帰の支援になるために様々なメリットがあります。
障害者雇用
社会復帰の最大のメリットは「障害者雇用」を利用できる点です。
障害を持つ場合、普通の雇用では精神的な負担が大きくなります。
その点、障害者雇用では働き方に様々な配慮を受けることができます。
配慮の内容は企業によって違いますが、労働時間の短縮や勤務内容への補助、休暇が取りやすくなるなどです。
障害者雇用は希望で利用することはできず、障害者手帳の提示が必要になります。
手帳を取得し、働ける体調に回復したらハローワークや障害者用の転職エージェントなどを利用しましょう。
障害者雇用を募集している企業は意外と多くあります。
これは障害者雇用促進法により、企業には障害者を雇用する義務があるためです。
具体的な内容は、
・常時雇用人数が100人を超える企業は、障害者雇用率(2.2%)を超えて雇用しなければならない
・上記雇用率を超えていない場合、企業は不足する障害者に応じて1人月額50000円を納付しなければならない
・週10~20時間未満で働く障害者の雇用に助成金(実人月数x7000円or5000円)
など様々な義務と補助があります。※詳細は厚生労働省HPを参照
これらを踏まえ、手帳を持つ人は堂々と転職活動をすることができます。
もちろん、手帳を使わず通常の雇用を狙うこともできます。これは完全に自由で、企業に対して障害を告知する義務はありません。
ただ、通常雇用では配慮を受けることはできないので、自分の体調と相談し、慎重に決めるようにしましょう。
障害者雇用を利用する場合はハローワークより、転職エージェントの利用をお勧めします。
僕も利用したことがありますが、面談(今はオンラインかもしれません)で体調や希望などを丁寧にヒヤリングしておすすめの案件を提示してくれます。
履歴書などの書き方も指導してくれ、面談の際は会社までついてきてくれました。
面談にハードルを感じる人もいると思いますが(僕もそうでした)行ってみればそれほど堅苦しくなく、親身に相談に乗ってくれるので話だけでも聞いてみてもいいかもしれません。
僕が使ったのはdodaでした。
障害者の就職・転職なら【dodaチャレンジ】障害者控除
手帳を持っている場合、所得控除の中に障害者控除を含めることができます。
障害者控除は27万円控除することができ、所得が少なくなりがちな障害者雇用においてはかなり多きなメリットになります。
ただし、障害者雇用の場合は年末調整で会社が控除の手続きをしてくれますが、障害を申告しない通常雇用の場合は控除がかかりません。
この場合は翌年の確定申告で自分で控除の手続きをする必要があります。
とはいえ、大きな控除額なので、できるだけ申告した方がいいと思います。
最近はオンライン(e-Tax)で確定申告できるようになったので、税務署の混雑に耐えられない状態の人はオンラインを利用するといいと思います。
※筆者も一度税務署を使いましたが、耐えられませんでした。
※申請にはマイナンバーカードとカードリーダー(PC)、もしくはFeliCa(おサイフケータイが使えるもの)搭載のスマホとマイナンバーカードが必要です。
※カードリーダーは確定申告の時期が近づくと品薄になるので早めに準備したほうがいいです。
申請自体は源泉徴収票があればそれほど難しくないので挑戦してみてください。
各種割引
手帳を持っている場合、各種割引を受けることができます。
・携帯電話割引(例:ドコモ)→ハーティ割引:5Gライト・ステップ1(通常月額3,465円→1,958円)
・NHK受信料→住民税非課税世帯(全額免除)、重度の障害(1級)(半額免除)
・公共交通機関→
東京都:東京都交通局管轄(都営地下鉄・都営バスなど無料)
飛行機:JAL(羽田→札幌):普通40,600円→22,500円
バス:高速バス:半額
・施設利用料割引→遊園地などの入園料半額など(ディズニーリゾート:通常7,900~9,400円→6,500~7,400円)
・映画館→半額
※上記一例(運営会社によって一部例外あり)
このように、通常価格より大幅に割引されるサービスがあるので対象であれば利用するべきかなと思います。
手帳を持つデメリット
手帳は障害者を保護するものなので多いなデメリットはありませんが、以下の点がデメリットになりうるかもしれません。
・保有に対する精神的負担
・発行に関する費用
・発行までの期間
もっとも大きいのは精神的負担かと思います。
精神障害は目に見えるものではありませんし、本人の自覚と医師の診断で決まります。
つまりまずは本人(もしくは家族)が認知しないと障害になりません。
そのため、障害者手帳を保有するということは自分が障害者と認めなければならず、現実を受け入れるのに時間がかかることが多いです。
取得は慎重に行いましょう。
手帳発行に関しては費用は無料です。
しかし、申請には医師の診断書が必要なため、その診断書の発行手数料(5,000~10,000円が多い)が必要になります。
手帳の有効期間は1年なので毎年診断書に費用がかかります。
手帳を申請してから発行までは1か月以上かかることが多いです。
継続申請も1~2カ月かかることが多いので余裕をもって手続きをしましょう。
申請には以下のものが必要です。
・縦4センチx横3センチの証明写真2枚(ポラロイド・印刷でもよい場合あり)
・マイナンバー及び身分証明書
・印鑑(認印可)
・医師の診断書(役所窓口にフォーマットあり※医師が独自のものを発行する場合もある)
デメリットとして思いつくのはこれくらいです。
精神的に負担がなければ積極的に利用したほうがいいと思います。
まとめ
精神障害者福祉保健手帳に関してお話ししました。
国が援助してくれている制度になるので、精神的負担にならない限り活用するといいかなと思います。
特に発行には時間がかかるので、転職活動などを控えている方は早めに手続きをしておきましょう。
この記事がみなさんの参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
私の障害遍歴についてはこちらの記事で書いてますのでよかったらご覧ください。